わかりやすく解説!ISO14001(環境マネジメント)③注目キーワード「生物多様性」

トピックス

「わかりやすく解説!ISO14001(環境マネジメントシステム規格)」シリーズの第3回です。

第2回では、2015年に改訂されたISO14001(環境マネジメント) 改訂の主な6つのポイントについて解説いたしました。
本回は、改訂版ISO14001において、注目すべきキーワード「生物多様性」を取り上げます。

2015年版のISO14001で初めて登場した「生物多様性」の保護

前回解説したISO14001改訂の3つ目のポイントに「生物多様性の保護」という言葉がありますので再掲します。

ポイント3:環境保全活動の対象範囲が汚染予防や生態系の保護まで拡大

緊急対応だけでなく、予防保全など環境を保護するための事前の取組みの重要性が追加されました。
企業組織が対応すべき“環境の保護”の範囲が、汚染の予防、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、さらには、生物多様性及び生態系の保護等広範囲に拡大しています。

「生物多様性の保護」とは、どのような意味でしょうか。
簡単に言うと、地球上の多様な生物を生息環境とともに保全することです。
ISOにおいては、地球上の生物がバラエティに富んでおり生態系が多様であることを認識し、その環境に適した保全活動となります。

先進企業での「生物多様性」の保護に関する取り組み

企業組織において、どのような形で生物多様性の保護しているのか、具体的な活動を取り上げます。

■NEC

2010年に「生物多様性行動指針」を策定、「NEC田んぼ作りプロジェクト」を発足し、2004年より認定NPO法人アサザ基金との協働で、「100年後にトキの 野生復帰」を目指し、稲作からお酒造りまでを一年を通じて体験する自然体験参加型プログラムを行っています
従業員だけでなく、家族やサプライヤーを含めたグループ全体で取り組んでいることが特徴です。

NEC「田んぼづくりプロジェクト」 NECホームページ「田んぼづくりプロジェクト」ホームページより引用

■清水建設

ダム工事やトンネル工事において、その土地の特性や希少生物の生息状況等に合わせた施工を行うなど地域の動植物保全対策を実施しています。

また、衛星画像データを用いた地域の自然環境の分析シミュレーションシステム「UE-Net(Urban Ecological Network)を開発し、緑化計画に役立てています。

清水建設「UE-Netによる生態系ネットワークの評価」清水建設ホームページ「生物多様性への取組み」より引用

■住友商事

民間金融機関として初の試みとして、米国主導の「ビジネスと生物多様性オフセットプログラム(BBOP)」に参画しています。

同社がマダガスカル共和国で進めているニッケル鉱山の開発事業では、事業地に希少な生物が生息していることから、鉱山サイトと離れた場所に代替生息地を確保し、 地域に生息するキツネザルや爬虫類54種・両生類69種の約1万4,000個体を保護エリアに移植しています。 さらに鉱山サイトの再植林や森林回廊の保護などに取り組んでいます。

■ホテルグランヴィア京都

上賀茂神社の“フタバアオイ”里親制度に参加し、絶滅の恐れがある自生植物“フタバアオイ”の育成に取り組んでいます。 育てたフタバアオイを上賀茂神社へ奉納し、京都三大祭の「葵祭」にて使用されています。京都固有の生物多様性と伝統文化の共生について、従業員やお客様に向けて情報発信しています。

このように、企業の業態に応じたさまざまなプログラムが導入されており、 事業活動を行う国や地域の環境に配慮した取り組みがなされています。

大企業を中心に取り上げましたが、 実現が困難なことを無理して行う必要はなく、自社の置かれた地域の特徴や生物環境を理解した上で、何かできるのかを考え、負担のない方法で行うことが継続的な環境活動を成功させるポイントです。

以上、注目キーワード(1)「生物多様性の保護」とは何か、及び企業での取組事例について解説しました。

次回は2つ目のキーワード「リスク及び機会への取り組み」について解説します。